【スピカデザインの業界分析】ファッション・アパレル業界とは?
SPIQA DESIGN
2023.12.01
皆さんこんにちは。WEBディレクターの長嶋です。
今回は僕の出身である【ファッション・アパレル業界】に関して分析をおこなおうと思います。
集客やブランディング施策のためのWEB制作需要が高い業界です。
どうぞお付き合いください!
目次
ファッション・アパレル業界とは?
ファッション・アパレル業界とは、衣類の製造や販売などを行う会社を総称した業界のことを指します。一般的な認識では上記の製造+販売のイメージが強い業界ですが、「材料の生産」「衣類の生産」「物流」「小売り」など、業種の裾野が広いことが特徴です。
アパレル業界の仕組み
アパレル業界のビジネスモデルは大きく「分業型」「SPA型」の2つに分かれています。
分業型ビジネスモデル
分業型ビジネスモデルは、「服の原料となる糸や生地の生産」「衣類の生産」「消費者に商品を販売」といった3つの業種に分かれており、それぞれ「川上」「川中」「川下」と分類しています。川上は原料や生地の生産に従事し、川中はこれらの生地を購入して商品をデザイン、最終的に川下が商品を消費者に販売します。
- 川上の主な業種: 繊維メーカー/テキスタイルメーカー/テキスタイルコンバーター
- 川中の主な業種: 繊維商社/アパレルメーカー/OEM/ODM
- 川下の主な業種: アパレルショップ/セレクトショップ
SPA型ビジネスモデル
SPA型は、分業型の「川上から川下」までの機能を持つ、「商品の企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデル」です。日本語では「製造小売業」と訳されます。
元々SPAは“独自のブランドを販売する衣料品専門店”という意味でしたが、1990年代以降概念が広がり、現在では素材調達から、商品の企画や生産、販売までのすべての工程を一貫して行う企業をSPAと呼んでいます。
このモデルのメリットは、流通にかかるコストを削減し、価格を抑えて消費者に商品を提供できることです。皆さんの生活でもお馴染みの「UNIQLO(ユニクロ)」や「GU(ジーユー)」で知られるファーストリテイリングなども、SPA企業です。
ファッション・アパレル業界の市場規模
2022年の国内アパレル総市場規模は8兆591億円です。
これは前年比105.9%となり、 2年連続で前年を上回っています。
意外にも、百貨店・専門店などの実店舗の回復が顕著で、新型コロナによる外出自粛などで停滞していた人手が戻って来たことにより、買い替えや新調需要が回復、実店舗の利用が増えたことが考えられるようです。
新型コロナで顕著であったEC需要は、実店舗出の購買需要が回復したことにより、現段階の成長率は落ち着きを見せています。
(参照:株式会社矢野経済研究所|国内アパレル市場に関する調査を実施(2023年))
ファッション・アパレル業界の動向
ファッション・アパレル業界の動向として、近年では以下の要素が挙げられます。
- ECサイトやフリマアプリの台頭
- 消費者の低価格志向の高まり
- サスティナブルファッション
それぞれ深堀りしてみましょう。
ECサイトやフリマアプリの台頭
新型コロナ禍における外出自粛制限によりECサイトの利用が増加し、2021年の衣類・服装雑貨などのEC市場は2兆4,279億円と、他の産業と比べてECの市場規模が大きい業種です。購入者にとっては家にいながら衣服を購入できる手軽さから、新型コロナによる外出禁止が緩和された現在でもEC利用の定着が見られています。
ECの手軽さや、「ZOZOスーツ」のようなオンラインフィッティングサービスの普及により、店舗に足を運ばなくても試着ができる取り組みを行っている企業も出てきています。
また、販路拡大を目指す企業がECに強みのある企業をM&Aする動きも見られます。
一方で、『メルカリ』や『ラクマ』でおなじみのフリマアプリ市場も成長しており、特にファッション関連アイテムの取引が盛んです。
今後は消費者全体の節約志向の高まりを背景として、中古商品を取り扱う利用者自体も増加すると予測されます。
新品を店舗にて購入するというこれまでの常識を壊し、フリマアプリのようなCtoC市場がアパレル企業にとって一段と脅威的な存在になるのか、もしくは市場の拡大に向け協業をしていくのか、従来の常識に挑戦する動向に要注目です。
(参照:MMD研究所|調査データ)
消費者の低価格志向の高まり
最近では、消費者の低価格志向が強まり、高級なファッションアイテムを所有することが重要視されなくなってきています。かつては低価格商品は品質が低いとされていましたが、現在はファストファッションの高品質化が進み、低価格で高い機能性とデザイン性を兼ね備えた商品が普及しています。この変化により、消費者は高級衣料品を購入する必要性を感じず、低価格志向が一層強まっています。
特に、オフィスの服装規範の緩和や「オンオフ兼用」や「着回し」できる服の需要の増加があり、カジュアルな衣料の需要が拡大しています。ファッションがコモディティ化する中で、消費者はお洒落やトレンドよりも暮らしを重視する傾向が強まり、「お洒落」への頑張りが低下していると言えます。
※コモディティ化とは、市場参入時に高付加価値を持っていた商品の市場価値が低下し、一般的な商品になること。
サスティナブルファッション
サスティナブルファッションは、「sustainable(持続可能な)」と「able(~できる)」を組み合わせた言葉で、アパレル衣料品の生産から廃棄、そしてリサイクルまでのプロセスにおいて、持続可能性を追求する取り組みを指します。アパレル業界が地球環境に負担をかけてきた過去から、サスティナブルなアプローチが急速に進んでいます。ファストファッションが大量生産・大量破棄に伴う環境負荷や、環境破壊、不適切な労働環境などの問題を引き起こしたことがその一因です。
サスティナブルファッションに繋がる行為には、不要になった製品の回収とリサイクル素材の利用、アニマルフリーの素材の選択、労働環境に配慮した工場での生産、フェアトレードによる適正な取引などがあります。これらの取り組みにより、アパレル産業は環境への影響を軽減し、社会的責任を果たす方向に向かっています。
ファッション・アパレル業界の有名企業
ファッション・アパレル業界の有名企業を紹介します。
- 株式会社ワールド
1959年に創業し、1992年からSPAを導入した日本有数の大手アパレル企業です。
他社が1社1ブランドである事に対し、多ブランド戦略を展開することにより、全国へ店舗出店を加速しました。また、ワールド独自の”SPARCS(スパークス)構想”を持っており、お客様を起点に小売から生産までを一気通貫させ、ロスや無駄を価値に変える「顧客価値の最大化」と「生産性の最大化」に向けて取り組んでいるという特徴があります。
※SPARCSとは、Super(卓越した)、Production(生産)、Apparel(アパレル)、Retail(小売)、Customer Satisfaction(顧客満足)の頭文字を組み合わせた造語です。 - 株式会社良品計画
「無印良品」や「MUJI(ムジ)」を展開する専門小売企業です。SPA企業の中でも、衣・生・食のすべてを扱っている特徴的な要素を持つ企業です。
1980年にプライベートブランド(PB)の「無印良品」が生まれ、日本文化の原点に着目した”不必要なものを削りながら、品質は絶対に落とさない。100%の品質で他社の商品より3割安い”というコンセプトを今でも貫いています。他社のPBと一線を画す品質から、日本国内だけでなく、中国などアジア圏の富裕層の顧客も掴み、世界的にもオンリーワンであるポジションを築きました。 - ファーストリテイリング
ファーストリテイリングは、国内でアパレル業界の売上高1位を誇り、『ユニクロ』や『GU』を展開しており、国内外で高い実績を上げています。社名は、「消費者の要望をすばやくキャッチし、それを商品化し、いち早く届けたい」という会社のミッションを表しており、とくにファースト(FAST)には「即断即決」という意味が込められています。
特に注目すべきは、積極的な海外進出戦略と製造小売業(SPA)の採用です。
世界各国へと事業進出していますが、特に中国やアジア地域で高い成果を上げています。
企画から製造までを一貫して行い、リスクを抱えつつも大きなリターンを獲得できるSPAモデルを採用することで、小売業の利益だけでなく製造工程の利益も得られ、その収益を顧客と株主に還元することが同社の成功要因とされています。
実はファッション業界における有名企業はSPA型のビジネスモデルを採用していることが多く、生産から販売まで一気通貫で行うことで、顧客にとってのメリットが生まれているようです。
個人的には品質にこだわり抜いて手が届ないような服づくりをおこなっている、分業型のファッションブランドも好きではあります。
ファッション・アパレル業界の課題
国内消費が減る一方でニーズは多様化
デフレが続く中、アパレル支出は減少しており、1990年以降半減以下になるなど厳しい状況が続いています。また、SNSの普及によりファッションが自己表現の場ではなくなり、アパレルに対する消費者の興味が薄れています。一方で、『コスパ』を重視する消費者やフリマアプリでの販売、質の高い衣類を求める傾向も見られ、消費者ニーズは多様化しています。
アパレル各社は実店舗の落ち込みを補うため、新たな事業を模索しています。通販モールへの依存を見直し、自社通販サイトに注力する企業が増え、新たな顧客開拓に取り組んでいます。しかし、国内のアパレル市場は少子高齢化や人口減少の影響を受け、今後の伸びには難しさが伴います。業界首位のファーストリテイリングが海外展開を進める中、アパレル各社もアジア、欧州、北米など成長著しい国に進出し、新たな市場を模索することが考えられます。
新型コロナウイルスや景気の後退懸念、物価高騰などが影響し、消費マインドの冷え込みが懸念されています。今後、国内のアパレル業界はますます厳しい状況となる可能性があり、消費者のニーズに合った商品開発や店舗展開、海外事業の拡大など、抜本的な改革が求められるでしょう。
ファッション・アパレル業界をWebでプロモーションするなら?
ファッション・アパレル業界をWEBでプロモーションする際、洗練されたデザインとEC機能が備わっていることが重要です。
どんなデザインがいいか
視覚的に魅力的であり、商品の特長を引き立てつつ、ユーザーエクスペリエンスを向上させるデザインが効果的です。シンプルながらもクリエイティブでインパクトのあるビジュアルを活用し、商品の魅力を引き出すことが必要です。
主役はあくまで「洋服・商品」である以上、過剰な演出よりも商品が引き立つようなWebデザインと、購買意欲が高まったらすぐに購入ができるという導線をもうけることが有効です。
どんな媒体が有効か
SNSでの販促活動は有効な手段ですが、特に Instagram・Pinterest・TikTok といった視覚的なプラットフォームで魅力的な写真や動画共有することが有効です。また、コンテンツマーケティングを強化し、ファッショントレンドやスタイリングのアドバイスを提供するブログやニュースレターなどで、ブランドの情報を発信とユーザーの信頼を高める施策も効果的です。
マルチデバイスに対応したWEBサイトを利用した、Google広告やSNS広告の活用や、SEOの最適化なども有効です。オンラインでの認知・集客を行い、購買意欲をを高めた状態でスムーズなオンラインショッピングを提供することが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
出身とあって、かなりボリューミーな記事になってしまいました…!
ファッション・アパレル業界はWEBとの相性が良いため、まだまだニーズがある業界です。
国内市場だけでは難しくなっている今だからこそ、WEBによって価値を高めることができる業界でもあります。
スピカデザインは、企業やサービスの魅力を「WEBで魅せる」ことをブランドコンセプトとして掲げています。
ファッション・アパレルの認知・集客・販売に関わるWEB制作をお考えの方は、是非一度お問い合わせください。