(SPIQA MAGAZINE)
スピカマガジン
〈1日1動画〉ACCに入賞したCM動画をレビュー!#07
どうも、スピカデザインの浅井です。
浅井のACCアワードを受賞したCM動画のレビュー。
第7回です。やっていきましょうか。
動画を引用するサイト「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」
今回レビューさせていただくCMはこちらから引用します!
http://www.acc-awards.com/festival/2022fes_result/filma.html
審査委員長をされた細川 美和子さんによるとアワードの選考基準は
「広告の歴史として残したい、と思うものが厳選されました」ということです!
詳しくは上記のリンクにある <細川審査委員長 審査講評> の項目をご覧ください。
このACC フィルム部門にて入賞されたCMを恐れ多くも僕がレビューさせていただきます!
めちゃめちゃ見応えのある良いCMばかりなので、ぜひ目を通してみてください!
ひらかたパーク 超ひらパー兄さん「ジェームズはキャシーの方を」篇
ACC ブロンズ
https://www.acc-awards.com/festival/2022fes_result/detail.html?awards=ie&entryId=FA220238
動画のポイント・考察
- プールサイドでパラソルを差し、デッキチェアに座りながら読書をする岡田准一。 やや俯瞰で撮影されており、見ている人は自分が傍観者であるという印象を受けます。
- 岡田准一のナレーションに合わせて縦書きの字幕が文字送りで表示されます。
- カットが切り替わると岡田准一へカメラが寄っており、こう呟きます。 「キャシーって誰やったっけ」 あんまり集中して読めてなかったのかな…?
- キャシーが誰かを確認する際、本の内容も見えるような画角で映りますが、読めるような文字の大きさではありません。このカメラワークでは文字を読ませるというより、ナレーションと合わせることで、見ている人も文字を読んでいるような感覚を持たせる、という意図があると思われます。実際自分も読んでいる感覚になりませんか?
- 再度岡田准一のナレーションに合わせて縦書きの字幕が文字送りで表示されます。 カメラは俯瞰とはいきませんが若干見下ろしているような画角です。
- 再度カットが切り替わると岡田准一へカメラが寄っており、一言。 「てかジェームズって誰やったっけ」全然内容頭に入ってないやん。
- ナレーションでは引きのカメラ、ひとり言の際は寄りのカメラ、とシーンごとにカメラが切り替わっており、本の内容/岡田准一の心情が、視覚的にも補完されて分かりやすく表現されています。
- 金髪ロングの外国人女性がプールから顔を出す様子のスロー映像で流れ、それと同時にBGMも流れだします。 画面には「プールサイドの 読書は、 だいたいウソ。」という偏見文章の字幕。 字幕の内容を岡田准一がめちゃめちゃいい声でナレーションします。シュール…
- 字幕の内容で岡田准一が「○○って誰やったっけ?」と読み返していた理由が判明します。 要は岡田准一はかっこつけてプールサイドで本を読んでいるフリをしていたってワケですね。
- 最後に本を閉じて謎の表情をする岡田准一。この表情になんの意味があるのかは全く分かりません。(やっぱ本読むのやめよっ)って感じなのかな…?
- 「そんなリゾート気分を。」このキャッチコピーは、「集中して読書ができないくらい楽しい場所」ってことを言いたいんですかね…?そうだと思います、多分。
- 細かいですが、園名のナレーションが「ひ~らパ~」と略して紹介しています。 基本こういったCMではフルネームで紹介するのが基本だと思っていたので、あえて略しで紹介するのが新鮮ですね。でもメロディーが乗ってて覚えやすく、親しみやすさもあるので印象に残る良い手段の一つだと思いました。
この動画が入賞できた理由を考察
- ナレーションの部分と、岡田准一の心情の一言でカメラの寄り引きが差別化されており、同じ声でも、視覚的な補完でその差分が分かりやすくなっている。
- CMとしての情報量は全然ないのに何故だか印象に残り、行きたくなってしまう。
- 「プールサイドの 読書は、 だいたいウソ。」という偏見で、プールに関心が向くようにしている。
名糖産業 大人の洋酒チョコレート「甘いだけじゃないのが、大人だ。」
ACC ブロンズ
https://www.acc-awards.com/festival/2022fes_result/detail.html?awards=ie&entryId=FA220485
動画のポイント・考察
- バッハの「G線上のアリア」のアレンジが流れながら始まるCM。 そこまで音楽に詳しくありませんが、原曲より音低めにアレンジされていますね?
- 窓から日が差しているため、お昼ご飯だということが伝わります。ただ家の中は電気がついておらず、窓がある画面左側と日が届かない画面右側でコントラストが生まれています。
- 映像は40~50代ほどの夫婦が食卓でお昼ご飯を食べるシーンで始まります。 お茶を運ぶ奥さんと共通のおかずに醤油を結構かける旦那さん。勝手にかけるのはよくないのでは…
- 2秒ほどその行為を見た後に硬直してしまう奥さん。(醤油かけてるなー…は?)と思っているようなリアクションです。信じられない光景を見たときって理解するまでにラグがあって、理解した瞬間に固まってしまいますよね。それを細かく繊細に演技で表現しています。
- 「信じられない…」と言っているような表情で旦那さんの方を見る奥さん。その視線に気が付いたのか醤油をかけるのをやめて、恐る恐る奥さんの方を見る旦那さん。 お二人とも演技が上手なので、その場のヒエッヒエの空気感がとても伝わってきます…
- 明朝体細めのフォントで「笑顔の妻は、」と書かれた字幕がゆっくりとフェードインしてきます。表示されきったタイミングで奥さんが「フッ」と笑顔になります。こっ、こえぇ…
- ゆっくりとフェードインしながら「怖い。」と、字幕の続きが表示されます。 ばつの悪そうな顔で目線を逸らす旦那さん。旦那さんの心情がすごく伝わってくる演出ですね…でも正直これは旦那さんが悪いよ~。
- 最後に宣伝商品のパッケージ画像と、画像の上に「甘いだけじゃないのが、大人だ。」と書かれたキャッチコピーの字幕が表示され、ナレーションが入ります。なるほどね、勉強になります。
- カメラが動かないフィックスの画なので、夫婦の心情がダイレクトに伝わってきます。
- 「meito」のロゴアニメーションとナレーションが流れてCMが終了。最後はシンプルです。
この動画が入賞できた理由を考察
- 「笑顔の妻は怖い」というフレーズを、役者の演技はもちろん、明るさのコントラスト、BGMを使って最大限に表現。
- 『大人の洋酒チョコレート』の商品名にあてがい、「甘いだけじゃないのが、大人だ。」というキャッチコピーに。そのキャッチコピーを夫婦の一部始終で感じさせる表現力。
- ナレーション以外のセリフは全くないが、夫婦がいまどんな気持ちなのかが、表情やリアクションで伝わってくる演技。シュールながらもリアルな雰囲気がある。
まとめ
以上2本のCM動画でした!いかがだったでしょうか?
ひらかたパークと岡田准一さんといえば、岡田准一さんが出演した映画などのポスターをパロディーしたものが有名ですよね。分からないという方はぜひ、「ひらかたパーク 岡田准一」で画像検索してみてください。自分は関西に住んだことがないのでひらかたパークにそこまで詳しくないのですが、岡田准一さんがおふざけしている遊園地のCMということに既視感を感じ、調べてみたら自分が想像していた通りのものでした笑
名糖産業のチョコレートCMは明暗の演出や夫婦の演技でキャッチコピーの内容が伝わる良いCMでした。こういう表現って簡単に見えて実は難しいんですよね…すごいです。
余談が長くなってしまいましたが、第7回は以上です。
また、今回の投稿で定期投稿を終了します。
次回分の投稿予定は今のところありませんが、また機会がありましたら動画レビュー記事を執筆しようと思います。
ご愛読ありがとうございました!
浅井先生の次回作にご期待ください!