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(SPIQA MAGAZINE)

スピカマガジン

〈1日1動画〉ACCに入賞したCM動画をレビュー!#05

どうも、スピカデザインの浅井です。

浅井のACCアワードを受賞したCM動画のレビュー。
第5回です。

投稿が遅れ、三日坊主のようになっていますが、この記事は12月中に執筆したものです。
本当ですよ!

動画を引用するサイト「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」

今回レビューさせていただくCMはこちらから引用します!

http://www.acc-awards.com/festival/2022fes_result/filma.html

審査委員長をされた細川 美和子さんによるとアワードの選考基準は

広告の歴史として残したい、と思うものが厳選されました」ということです!

詳しくは上記のリンクにある <細川審査委員長 審査講評> の項目をご覧ください。

このACC フィルム部門にて入賞されたCMを恐れ多くも僕がレビューさせていただきます!
めちゃめちゃ見応えのある良いCMばかりなので、ぜひ目を通してみてください!

ストロベリーコーンズ ナポリの窯

このCMは全部で4篇ありますので、今回の記事はこのCMのみをレビューします。

ACCファイナリスト

https://www.acc-awards.com/festival/2022fes_result/detail.html?awards=ie&entryId=FA220191

動画のポイント・考察

「ティザー」篇

  • ピザ関係のCMだということがすぐに伝わるようにピザを食べながら歩くイタリア人男性。
  • クラシック風の落ち着くBGMで映像の雰囲気とマッチ。
  • 何故か上半身裸で、逞しくそして美しい筋肉が露わに。
  • 「ナポリの窯」のCMだということがすぐに伝わりそうな、ナポリーノ・カーマというそのまんまなキャラクターネーム。
  • BGMの雰囲気や速度に合わせてゆっくりと不透明度アップで表示される字幕。
  • 動画のテクスチャーと、ナレーションの雰囲気から、少し古臭さを感じます。
  • 字幕は文字が立体的に見えるドロップシャドウがかかっています。 白だけでも視認できると思うので、このドロップシャドウはあえて付けている?←コントラストが強い映像なので、映像に合わせていると考察
  • 深く考えたら負けな気がしてくるほどそれっぽい単語を並べて男性をよいしょするナレーション。彼が歩けばイタリア、ナポリの風が吹き渡るようです。すごいね。
  • キャッチコピーが後半に出てくる。「こんな時代に、飾らない」 だから上半身裸…なのか?  ただSNSが中心になっているこの時代に突き刺さるキャッチコピーになっている。
  • ピザのCMなので当然だが、最後のカットのピザがすごく美味しそう。 湯気がたっており、映す角度がとても綺麗で食べたくなってしまいます。

「名刺」篇

  • 「ティザー」篇とは打って変わってオフィスビルのロビーで名刺交換するシーンから始まるため、最初はなんのCMか伝わってきません。
  • 新入社員・田中が名刺交換するが取引先3名の肩書きがやたら長いので、つい心の声が漏れてしまう、というのが前半の流れ。
  • カット割りで名刺交換の情景が分かりやすく表現されている。 名刺を受け取る人→名刺を渡す人→名刺のアップ→受け取る人→次の渡す人→名刺のアップ→受け取る人→俯瞰の画→最後に渡す人(あおり)→渡した人の後ろから見える受け取る人
  • 田中の心の声がいちいち面白い。 僕が好きなのは「複雑な職を兼ねるなよぉ」。
  • チーフデジタルマーケティングエンジニア兼チーフエグゼクティブアカウントディレクターの阿部さんの名刺だけが映らない。これは、田中が肩書きを覚えようとしたけど、(もういいや)と諦観している気持ちを表現している演出なのではないかと考察。考えすぎか?
  • そこへピザを持ち、颯爽と現れるナポリーノ・カーマ。オフィスビルのロビーに上裸の男性が入ってくる画は完全に不審者 現れる際のSEが彼の存在感の大きさを感じさせます。
  • 情熱的に見つめあう田中とナポリーノ・カーマ。 おそらく視聴者は置いてけぼりにされてしまうであろう…
  • 見つめあうシーンはピントを2人に合わせてあるため、背景がボケています。 まるでお互いにしか目がいかない様を表現しています。
  • 結局何が言いたいのかというと、『飾るような肩書きが多いこの時代に、「ナポリの窯」のピザは飾らないぜ。』ということを表現しているのではないでしょうか。

「アプリ」篇

  • カフェで談笑する女性2人が映るところからスタートする。 名刺篇と同じくなんのCMかはまだ伝わってきません。
  • スイーツの写真を友人から見せられるも、スイーツよりも目立つ、「盛った」友人の写真に若干引き気味になる女性。
  • 1分12秒の女性の(あぁ~…)って感じの表情が面白いですね。 表情からその人の感情がとても伝わってくる良い演技です。
  • 2枚目の写真は過剰に加工されすぎてスプーンがぐんにゃり曲がっています。 誰がどう見ても盛られた写真だと気が付きます。
  • 友人の「マジヤバいよね~」というセリフに対して「お前の盛りが一番ヤベェけどな」と気持ちを吐露する女性。キレッキレのツッコミです。呆れた表情も相まってその人の感情がダイレクトに伝わってきます。
  • 上記は口に出しているセリフですが、手前にうっすらと映っている友人が反応していないので、このセリフは女性のひとり言、心の声だということが伝わる演出です。
  • 唐突に、女性の方を見つめるナポリーノ・カーマがカットインされます。 少しずつズームアップされており、その存在感を感じさせるSEが流れます。
  • お互いに見つめあうナポリーノ・カーマと女性。ここの展開は名刺篇と同じです。
  • メインで映らないエキストラの人たち(店員や他のお客さん)の動きも細かくてリアル。
  • とにかく女性の演技から感情が伝わってきて面白いCM。

「TVショッピング」篇

  • TVショッピングでフライパンを宣伝する男性と女性。 映像も少し前の時代のTV画質のようなエフェクトがかかっています。
  • TVショッピングらしい、わざとらしいリアクションでリアリティーが出ています。
  • 商品が紹介される際は飾られた字幕と、「デデン!」というSE、女性の歓声のSEが流れます。こちらも本当にTVショッピングらしく、リアリティーが出ます。
  • プライパンに自動掃除機、低反発枕、フライパンDXバージョンを付ける『飾りっぷり』。
  • 最初はTVショッピングのリアクションをする人らしくふるまっていた女性だが、あまりの飾りっぷりにだんだん怪訝な表情になっていくことから、感情の変化を読み取れます。
  • 女性が呆れて心の声が漏れるシーンは、TVショッピングのロゴや字幕などの装飾が消え、女性しか映っていません。心の声が漏れるシーンに、TVショッピングの装飾があると、変ですもんね。
  • 心の声が漏れたら次に現れるこの男、ナポリーノ・カーマ! 今までのCMと同じく、少しずつズームアップされ、お馴染みのSEが流れます。
  • やっぱりお互い見つめあうナポリーノ・カーマと女性。ここのくだりはティザー篇以外同じ演出でしたね。(BGM・SEやカメラワーク、女性とナポリーノ・カーマが見つめあう展開)

この動画が入賞できた理由を考察

  • 「こんな時代に、飾らない」というキャッチコピーをシュールに表現している。
  • 上裸のイタリア人男性にナポリーノ・カーマというそのまんまな名前でキャラクターを立てることで、CMを見た人に強烈な印象を残すことができる。
  • 「飾らない」を表現するためにティザー篇以外は「飾っている人たち」がいる。 その「飾っている人たち」は同じようなものではなく、各々の「飾る」を表現している。←名刺篇は肩書きを飾る取引先社員、アプリ篇では自撮り写真を盛って飾る友人女性、TVショッピング篇ではおまけが多くして商品に付加価値を飾る男性
  • 少し古臭さを感じる動画のテクスチャーやナレーションを用いて、「こんな時代(現代)」に対しての古臭さの対比を表現している。
  • ティザー篇以外は、主役となる女性全員が心の声でツッコミをして、ナポリーノ・カーマと情熱的に見つめあう、という一貫性のある展開。
  • 一貫性がありつつも「飾る」表現はそれぞれ違うので、飽きない。
  • 見つめあうくだりを全篇同じ演出にすることで後半の流れが強く印象に残り、ユーモア溢れるCMになっている。 女性の表情がそれぞれ微妙に違い、ナポリーノ・カーマも上裸でシュールな映像になっているので、くどさのようなものを感じさせない作り。

まとめ

以上、1本4篇のCM動画でした!いかがだったでしょうか?

今回で10本のCM動画をレビューした訳ですが、なんか僕の好みが見え透いてきてそうですね…今回のナポリの窯CMは「飾らない」というフレーズの表現方法が面白かったです。同じような展開でもニュアンスの違いで別の動画に仕立てる演出力もすごかったです。

と、いうわけで第5回の動画レビューでした。
次回の投稿でまた会いましょう!