制作チームを社内に持ち続ける理由

採用資料の組織体制の章に、こう書きました。
・事業の本質は集客/受注/制作の3軸である
・これら3軸はそれぞれお客さま対応の責任の所在である
・社内に制作チームがいることは当社の強みである
3行目について、今日は書こうと思います。
もくじ
3軸というのは、責任の分け方です
まず前提から。うちの組織は3つの軸でできています。
| 軸 | 責任の対象 | 職能 |
|---|---|---|
| 営業 | 集客・接点づくり | セールス |
| 企画提案 | 受注獲得・企画提案 | プランナー |
| 制作 | 進行管理・納品・品質・収支 | クリエイティブディレクター |
| デザイン・コーディング・リソースのディレクション | クリエイティブデザイナー |
よくある切り方に見えるかもしれません。
ただ、この図で強調したいのは職種の分類ではなくて、
それぞれが「お客さま対応の責任の所在」になっているという点です。
集客はマーケの仕事、受注は営業の仕事、制作は制作の仕事、
と機能で分けてしまうと、お客さまから見たときに窓口が段階ごとに動きます。
そうではなく、どの段階でも「この人が責任を持っている」が決まっている状態にしたい。
制作を外に出す会社は多いです
ここからが本題です。
WEB制作の会社で、制作機能を社内に持たない会社はかなりあります。
営業と進行管理だけを社内に置いて、デザインもコーディングも外部に出す。
合理的だと思います。固定費が軽くなりますし、案件の波に強い。
繁忙期だけパートナーを増やせばいいですし、
必要なスキルセットが変わっても人を入れ替える必要がありません。
前回書いたとおり、うちも量産部分は外部パートナーとAIに出しています。
だったら全部出せばいいじゃないか、という話になります。
でも出していません。理由は2つあります。
理由1:品質の基準は、外注では育たない
「いいものというのはお客さまに喜ばれるもの」と定義している以上、
何が喜ばれるかを知っていないと判断ができません。
そしてこれは、資料を読んでも会議で聞いても身につかない類のものだと思っています。
実際に自分の手で作って、出して、反応を見る、というのを何度も繰り返して、
ようやく「このラインなら大丈夫」という感覚になるので。
制作を全部外に出すと、この経験を積む人が社内からいなくなります。
数年は既存メンバーの感覚で回りますが、その人が抜けたら基準ごと消える。
前回の「品質管理は人が持ち続ける」という話は、
裏返すと品質管理ができる人を社内で育て続けられるかという話でもあります。
作る現場がないところで、判断だけできる人は育たないので。
理由2:業界特化は、周回速度がないと成立しない
うちは美容クリニック領域に特化しています。
資料には事業の特徴として「業界特化の専門性」と書いてあって、
2030年の目標としてクリニック領域のシェア日本一(取引数300院)を掲げています。
いまは約100院なので、まだ3分の1です。
業界特化というのは、要するに同じ業界の仕事を何度もやるということです。
何度もやるということは、前の案件で得た知見が次に効きます。
このループを速く回せるかどうかが、特化の価値をほぼそのまま決めます。
外部に出すと、毎回パートナーへの共有からやり直しになります。
1周が長くなって、知見が溜まる速度が落ちます。
社内に制作を持っているのは、この周回速度を落としたくないからです。
「じゃあ外部パートナーは何なのか」
矛盾しているように見えるかもしれません。
社内に持つと言いながら、外部にも出しているので。
線の引き方はこうなっています。
- 判断が要る部分(何を作るか決める/出てきたものが良いか決める)→ 社内
- 決まったものを形にする部分(量産)→ 外部・AI
前回のグラフで言えば、左端の「閃き」と右端の「匠」が社内、
真ん中の「量産」が外部、という切り方です。
資料にはこう書いてあります。
・外部パートナーとの連携/AIの活用によってリソースは無限大に
・職能にとらわれずやれることを広げていく
・閃きと匠が社内メンバーの取り組むべき仕事
2行目の「職能にとらわれず」は、
デザイナーが企画を考えてもいいし、プランナーが手を動かしてもいい、という意味で書きました。
3軸で責任を分けているのに職能にとらわれるな、というのは
矛盾して聞こえるかもしれません。
でも責任の所在は固定して、やることは固定しない、というのが意図するところです。
責任が曖昧なまま役割だけ広げると、ただの何でも屋になります。
責任がはっきりしていれば、その責任を果たすために越境するのは自然なことになる。
次回は職種の話を書きます。
セールス、プランナー、クリエイティブディレクター、クリエイティブデザイナーの4つが、
それぞれ制作フローのどこに責任を持っているのか。
応募を考えている人にとっては、たぶんこれが一番知りたい部分だと思うので。
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